"今あるもの"磨きブランド化―小さな山村の挑戦 福井小浜・中名田地区(3)
また、中名田発祥の伝統産業「若狭和紙」の継承のため、和紙を使ったオリジナル卒業証書ツアーも計画。これまで市内小学校を対象に「御食国若狭おばま食文化館」で実施していたが中京・関西の小学校まで対象を拡大する。「山の小浜」売り出す
紙漉き体験をすると、うっすらと校章が透けて見えるというもので、同地区区長会会長で和紙職人の芝三津男さんは「地域の伝統も伝えられますし、子どもたちの思い出になります」。
伝統の若狭和紙の紙漉きも旅の素材に
そのほか、300年以上続く市無形文化財「松上げ」の観光交流イベント化や、秘仏めぐりツアー、ウオーキングなど「今あるもの」をフル活用していく予定だ。
小浜市ではほかにも阿納地区など漁村の取り組みも活発化。中心部は歴史、海の資源が観光の目玉だが、各地区では住民レベルで観光の底上げが図られている。
同協議会では住民が酒を酌み交わしながら地区の今と未来を語るのが通例。今回の事業採択を有効に活用しようとベテランから若手、市職員までが活発に議論を進めている。「後を任せられる若手も出てきました。この元気が中名田の大きな武器」と坂下さん。
地区内には茅葺き民家、田園と森林など欧米人が求める「日本の原風景」がある。協議会では「海の小浜に対して、中名田は『山の小浜』で売り出したい」と強調。元気×「今あるもの」で過疎地域活性化の好例に、中名田がなる。
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