【文芸時評】8月号 テクスト論者として 早稲田大学教授・石原千秋
芥川賞が柴崎友香「春の庭」(「文学界」6月)に決まった。本命だと思っていたから驚きはない。最近の芥川賞作品は「芥川賞を狙っています」みたいに無理に前衛風の工夫がしてあって、どうみても長続きしない人が受賞している。そのまま消えてしまうのはまだいい方で、作品を書かず、文壇アイドル以下でも以上でもない位置づけになって恥をさらしているだけの人もいる。その点、柴崎友香は長続きすると思う。久しぶりに良い作家に決まった。
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