「現実に起きている混乱に対応すべき」 自民党生殖医療PT座長の古川俊治参院議員に聞く
--なぜ、生殖医療法案を作ろうと思ったのか 「少子化がどんどん進んでいる。晩婚化に伴い不妊治療を高齢で始める人が増え、自分の卵子が使えないことも多くなっている。また、海外に行って医療を受けるケースが顕著になってきた。さらに、親子関係をめぐり、さまざまな事例が裁判で争われるようになった。以前からこの問題に取り組んでいたが、待っていたら何も進まない」 --これまで10年以上、法制化の動きはなかった 「生命倫理に関する法律は、中立である政府が主導するわけにいかない。議員立法がふさわしいが、やる議員がいなかった。こうした治療はひそかに行われるから、問題が表に出にくかった面もあるだろう」 --PT案は、日本産科婦人科学会が指針で禁止する代理出産も容認した 「学会指針は法が作られるのが前提で、法制度ができるまで待とうという考え方だ。(代理出産を)やりたくないということではないだろう。問題なのは、営利目的が横行する海外で医療を受ける人が増えていること。外国の女性に金銭を払ってみだらな行為をしているとの誤解を与えかねない。国内のしっかりした医療機関で、営利目的なしでできる必要がある」 --議員の反応は 「賛成は7割程度で、反対論も根強い。意見がまとまりにくいのは、家族観の違いだろう」 --血のつながりを重視すべきだとの声が大きい? 「日本の伝統的な家族制度では『家』が重視されるが、嫁や婿と義父母に遺伝的なつながりはない。それでも絆はできる。家族はそれぞれだ。考え方以前に、現実に起こっている混乱に対応すべきだろう」 --今国会提出は断念したが 「これだけハードルが高い法案なので、まだ時間が必要だ。まず与党で議論した上で、超党派でいろんな案を考えたい。新しい体制を作ることは大変だが、学会も厚生労働省も患者も法律が必要と思っている。この機運に乗れなかったら厳しい。議員ひとりひとりに説明していきたい」