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【鈍機翁のため息】(88)羊の冒険 III 禍福は糾える縄のごとし

【鈍機翁のため息】(88)羊の冒険 III 禍福は糾える縄のごとし
 丘の上から一部始終を見ていたサンチョは、羊飼いたちが立ち去るとすぐに主人のもとへ飛んでいく。まだ意識のあったキホーテは、今回の敗北も悪辣(あくらつ)な魔法使いのせいである、と解説したうえで、口の中がどうなっているか見てほしいと頼む。口をのぞくや、胃袋の霊薬が逆流して吹き出し、従士の顔を洗う。それを血と勘違いした従士は、主人が死に瀕(ひん)していると嘆く。ところが、しばらくして血と思っていたものが霊薬であることがわかるや、今度は従士が腹の中のものをすべて主人の顔に吹きかけてしまう。
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