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【書評】『カノン』中原清一郎著

【書評】『カノン』中原清一郎著
 ■中高年男性の「生き直し」 古典の「とりかえばや物語」をはじめとして、男女の入れ替わりを描いた作品は多い。この作品もその一つ。脳外科手術の発達を背景に、記憶をつかさどる「海馬」の交換手術によって、一組の男女が入れ替わるという設定だ。難病に侵された32歳の女性・歌音と末期がんで余命いくばくもない58歳の男性・北斗。記憶力が低下し、間もなく廃人となることを知った歌音は、まだ幼い息子のため交換手術に応じ、母親としての役割を北斗に託す。
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