四国観光の今後、官民一体で議論 国や日本旅館協会が会議
四国観光戦略に関する官民会議が11月6日、香川県・湯元こんぴら温泉紅梅亭で開かれた。会議は地方運輸局と日本旅館協会が協議を重ね、同協会の全国9支部と連携しながら地方の文化観光を見直し、情報発信することを目的に開催。観光庁の久保成人長官や文化庁の大和智文化財鑑査官、日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長、日本観光振興協会の見並陽一理事長、日本旅館協会の近兼孝休会長、四国ツーリズム創造機構の平尾政彦事業推進部長ら約20人が出席した。久保長官は「こんぴら歌舞伎が開かれる金丸座や金刀比羅宮をはじめとする伝統文化や風光明媚な景観、温泉、旅館、食といった恵まれた観光資源がある四国での開催となった。こうした日本固有の文化が深く根ざした地域が評価されることが観光立国の一つの姿だ」と話し、官民あげて議論する意義を訴えた。
四国観光の今後を議論
四国運輸局の丸山研一局長は四国観光の現状を報告。4県の2012年の延べ宿泊者数(従業員10人以上の宿泊施設)は905万4千人泊で、全国シェアは2.5%、そのうち外国人は11万5600人泊で0.5%しかないとした。面積がほぼ同じの北関東3県(群馬・栃木・茨城)の1800万人泊に対して半分に過ぎない。
丸山局長は「観光資源が豊富にありながら、磨き切れていない。四国遍路は文化的な価値があると評価されてはいるが、それ以外の歴史的、文化的な遺産をどのように生かすかが課題」と指摘。少子高齢化が進む四国は、交流人口の拡大が急務であるとした。
平尾事業推進本部長は、国内の誘客活動について例年JRや航空会社とタイアップキャンペーンを行っているほか東京、名古屋、大阪、福岡などで商談会を開催し、来年度はJTBの「日本の旬」キャンペーンを開催することを報告。今年度の高速道路活用キャンペーンは12月までに4千人を集客する見込みとした。海外の誘客については2次交通や四国東南部の観光促進、人材育成の公開講座などを開いていることを紹介した。
近兼会長は「31年前に文化庁へ行って、文化財であり日本最古の芝居小屋『金丸座』を使って歌舞伎をやらせてほしいとお願いに行き、現在も続いている。観光と文化は非常に大事だ。観光庁と文化庁で大きなパイプをつくり、眠っている地域の文化や祭り、歴史を掘り起こして国内観光の活性化につなげてほしい」と述べ、日本旅館協会で始めた和食文化の継承や開発、情報発信を行う料理人支援制度の取り組みを話した。
大和鑑査官は「文化財はこれまで保存に主体を置き、観光とは距離感があった。しかし最近では町並み保存などで関わりが深まっている。琴平の金丸座にしても何百年も守り続けているので価値を保っている。それが文化遺産の特徴なので守るところは守り、どのように有効に活用するかが重要だ」。
見並理事長は「地域文化を基軸にした観光地づくりをオールジャパンで推進することが必要だ」とした。