「るるぶ」創刊30周年 旅への役割を聞く(3)
―観光や地域の活性化にガイドブックができることはなんでしょう。「最高の思い出」の一助に
宇佐美 「るるぶ」はみなさんと一緒に地域を盛り上げ、そのことで人が動く、そうしたお手伝いを続けさせていただきたいと思っています。ネットで調べて分かることはたくさんありますが、そこに「るるぶ」としてどのように付加価値をつけていくか。そのためにはJTBグループとしての信頼を背景に地道な取材があります。
毎年更新しているエリア版で言えば、今年、その観光地に行く人に何を紹介すべきかが編集のベースです。年によって違うでしょうし、それが読者のニーズに合うのかを一生懸命考え取材しています。これがビジネスの根幹です。
多くの旅行者にとっては、ある観光地に一生に1度か2度しか行かないのが普通です。その旅を楽しい思い出にしていただきたい、その楽しい旅のお手伝いをしていきたい。
―編集体制について教えてください。
宇佐美 国内版に6つ、海外版に1つの編集部があります。スタッフは全体で50人程度です。編集長は男性が4人、女性が2人です。編集スタッフは女性が圧倒的に多く、ほとんどが20代です。
本を買っていいただいているのは圧倒的に女性ですので、編集側にも女性の感覚や感性がすごく大事です。
―インターネット、デジタル書籍、スマホの観光アプリ、口コミサイトと強力なライバルがありますが、紙媒体の旅行ガイドブックの将来性はどうでしょう。
宇佐美 出版市場全体が厳しいなか旅行図書市場も例外ではないと思っています。ただ、旅に行く前のプランニングには、当分、紙の優位性は揺らがないだろうと思っています。
電子書籍の旅行ガイドがどれだけ普及するかは、まだ不透明です。紙から電子書籍にシフトという状況はまだ起きていません。
点の情報であればインターネットや口コミがいいんでしょう。でも2日間、3日間をどう回れば最高の思い出になるのかを表現できるのは、旅行ガイドブックです。地域を回ってもらうことが地域活性化にもつながると思うし、そういう面でもガイドブックの役割があると思います。
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