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旅館を潰さない 渡邉幸一さん(海栄RYOKANSCEO)(1) 地域と協調

旅館を潰さない 渡邉幸一さん(海栄RYOKANSCEO)(1) 地域と協調
1981年、愛知県南知多町で海栄館を創業し、知多半島エリアでコンセプトの異なる複数の旅館を成功させたことを足がかりに、今や愛知県内をはじめ各地に旅館を展開する海栄RYOKANSグループ。その数は三重県の湯の山温泉や伊勢市、富山県の宇奈月温泉、愛媛県の奥道後温泉と湯ノ浦温泉など再生した旅館を中心に14軒に及ぶ。「旅館は潰してはならない」と強調し、他の旅館チェーンとは一線を画す同グループの渡邉幸一CEOに話を聞いた。旅館の再生ビジネスというビジネスモデル ―旅館を買収し、再生する事業を始めたきっかけを教えてください。 もともとは成長戦略をとる中で、旅館のビジネスモデルが崩壊している、ビジネスモデルを変えなくてはいけないと誰もが言っています。しかし、どう変えるのかは誰もわかっていない。皆さんは、私が旅館を買って経営している、今まで通りの旅館ビジネスをやっていると思っているかもしれません。そうではなくて、旅館の再生ビジネスというビジネスモデルなのです。 最初は厚生年金事業振興団、雇用促進事業団などが所有する宿泊施設が閉鎖するというのを入札して買っていきました。天の丸(愛知県幸田町)やつるぎ恋月(富山県上市町)、千の杜(三重県伊勢市)などがそのパターンです。変なところに買収されて安売りされたら大変なことになるので、それなら自分でやろう、うちのプラスにもなるだろうと考えたわけです。 そのあと、再生という意味ではたつき(愛知県蒲郡市)です。生き残る方法はないかと相談されました。民事再生にしました。 私も旅館の倅だし、旅館を潰すのはよくないと思っています。かといって全員は救えないんだけれど、少なくとも先祖伝来の土地建物を守りたいという倅がいて、親父はとんでもない借金をしているけれど、自分は連帯保証をとられてないぞというのであれば、私のところに相談に来てと言っています。 ―一方で、旅館買収はいろいろな企業グループがあります。 北陸地方の地銀が自分たちの不良債権を何とかしようとして、異業種から参入してきた旅館チェーンがどんどん進出してきました。しかし、その処理は付け焼刃的で、温泉地の地盤低下を招くだけではないかと疑問に思っていました。地銀の都合でやられるとまずい。地元の愛知県、隣の三重県も放っておいたらぐちゃぐちゃになると危機感を持っていました。 だけど、三重県のある旅館に関しては何とかしようと金融機関に働きかけましたが、旅館側の理解ができていなくてね。その旅館の息子は私どもと思っていたけれど、親父があるチェーンをひっぱってきてしまいました。 もう一つの三重県内のホテルも息子が金融機関から任意売却で買おうとして話がまとまっていたのが、土壇場で中小公庫が今の任意売却の金額では債権放棄できないと言い出し競売になった。その段階でバックにあるグループがいたのがわかりました。 →旅館を潰さない 渡邉幸一さん(海栄RYOKANSCEO)(2) 路頭に迷わせずに続く 1 | 2 | 3
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