匂いにこだわり接客
先日、日本一と称される旅館に泊まった。何回も宿泊していて凝った設備とそつのない接客にはいつも脱帽するが、一緒だった旅行会社の社長から、その旅館の香りに関する話を聞いて、驚いた。高級旅館の館内で香をたいたりするのは珍しくないが、以前、旅館経営者に「ここの旅館の香はなんか線香の匂いのようですね」と話したら「高級な香ほど線香のようで、わかる人にはわかるんですよ」と言われて恥をかいたことがあった。
今回、その旅行会社の社長が言うには、接客係の頭髪から匂うシャンプーというかリンスの匂いと、大浴場でほのかに匂う香りと同じだったので、社長に確認すると匂いの統一を行っているということだった。そのため旅館の接客係は大浴場に置かれているシャンプー、リンスを使っているのだという。
社員の匂いにまでこだわり、管理するのは、そこまですべきなのかといった声もあるかもしれないが、人をもてなす徹底ぶりに驚かされる。そのスタンスも冒頭の香の話ではないが「わかる人にはわかる」というさりげなさが、すごいと思う。
これでもか、というほど「当方はすごいことをやっているんですよ」というところは多いが「さりげなく」「わかる人にはわかる」という取り組みはできるようでできない。
(トラベルニュースat 13年7月10日号)