【体感景気(中)】三本の矢「まだ届かず」 中小企業、薄日は差すが…
プレス機の金属音、研磨機の水音が絶え間なく聞こえる。新潟県燕市の金型製造会社「コバヤシ製作所」の小林栄一社長(65)は机に何枚もの図面を広げた。「見積もりの依頼が増えてね。少しは仕事を選べるようになったかな」 農機具の金型を専門に、23歳で会社を設立。ストーブ、自動車部品と手がける金型を増やしてきた。「メーカーの生産拠点移転、リーマン・ショックに東日本大震災で、ここ6、7年は(収支が)真っ赤っ赤」。金型の単価は4割まで下がり、割に合わない仕事にも飛びついてきた。