【書店員のおすすめ】『土屋耕一のことばの遊び場。』

　■思考は読むから作る愉しみに変化　コピーライター、土屋耕一さんの文をまとめた本書は、和田誠さん編の「回文の愉（たの）しみ」と糸井重里さん編の「ことばの遊びと考え」の２冊組。まず、装丁やイラスト、写植での文字打ち、手触りなど、形からも本書に関わった人たちの土屋さんへの尊敬が伝わってきます。「回文の愉しみ」は、回文（上から読んでも下から読んでも同じ文）やアナグラム（文字の並び替え）など、ことば遊びがぎっしりと紹介されています。そして読むうちに、思考は読むから作る愉しみに変化します。よしっ、自分も、と、ことば遊びに挑戦するもすぐに出来るはずもなく、改めて土屋さんのことばつかいに感銘を受けました。一方、「ことば遊びと考え」は、土屋さんが読者とことばをどのように考えているのか知ることができます。その文章は、洒落（しゃれ）ていながら押し付けがましくなく、でも伝えたいことはしっかり心に入ってきます。本書は、土屋さんから読者へのことばのプレゼントではないかしらん。（土屋耕一著、和田誠・糸井重里編／東京糸井重里事務所・３１５０円））　青山ブックセンター本店＝（電）０３・５４８５・５５１１　山崎加奈