【惹句魂】『夢を売る男』百田尚樹著
〈「本屋大賞」受賞作家最新作!〉と帯に大書された本書を手に取ると、背表紙には〈猛毒注意!〉、後ろ側の帯には〈『永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹、大暴走!!〉と、何とも刺激的な言葉が並ぶ。2月末刊行の本書は、今年の「本屋大賞」に『海賊とよばれた男』(講談社)が輝き、勢いに乗る著者の最新書き下ろし小説。出版界を舞台に、作家の懐具合など裏事情にも踏み込むブラックコメディーで、3刷7万部と順調に版を重ねている。業界の内幕を知る著者の描写は生々しく、うたい文句に違わず毒気たっぷりだ。