【紅と白 高杉晋作伝】関厚夫(178)疾風篇 談判(五)
「高杉さん、なんともばかばかしいことになりましたな」 「…」 四カ国連合艦隊との和議交渉がはじまったばかりの長州藩軍が本営をおいた船木(現・山口県宇部市)から南へ1里(約4キロ)ほどはなれた有帆(ありほ)(山陽小野田市)の豪農の離れ。松下村塾以来の旧知の船木代官、久保清太郎(せいたろう)の機転で、からくも凶刃をのがれた晋作と伊藤春輔(しゅんすけ)は、両手を頭のうしろに組み、あおむけになりながら、天井をながめていた。
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