【江副浩正氏死去】「頭の切れ味抜群」 取り調べた元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士
リクルート事件で江副さんを取り調べた元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士(71)「リクルート事件のときは私は主任検事として全体の捜査責任者、江副さんは事件の最重要人物。互いに責任ある立場で対峙したので、こちらは事件をどうまとめるか、向こうはどこまで話すかを考え、緊張して戦っていた。印象に残っているのは取調室で、藤波孝生元官房長官に賄賂を贈ったのかどうかのところ。賄賂を贈ったのを認めた直後に『総理になるような人だから何とか助けたい』と懇願され、その後に『将来の総理候補の一人を潰してしまった』と嘆いていた。頭の切れ味は抜群で、何を話せば会社にどう影響するかを理解しており、一言ひとことを慎重に話していた。クラシックやオペラ鑑賞の趣味が一緒で、事件後はコンサート会場で何度も出会う機会があった。『こんなイタリアのオペラがありますよ』って勧められることもあった。年賀状など季節のやり取りもしていたし、笑顔で『宗像主任検事は怖かった』なんて冗談も言ってきた。互いに事件当時の立場がつらかっただけに、解き放たれて人として通じ合っていた感じがする。昨年10月に都内のコンサート会場で会ったのが最後で、一緒に写真も撮影した。先見性のある有能な企業家だったと思うし、美術家の育成にも熱心でもっと長生きして社会貢献を続けて欲しかった。まだ若かったのに残念」