耐震や民泊、雇用で意見交換 日旅協関西、旅館取り巻く課題に対応
日本旅館協会関西支部連合会(増田友宏会長=春日ホテル)はこのほど、大阪市北区のホテルグランヴィア大阪で常任理事・理事会を開いた。耐震や民泊などについて意見交換を行った。冒頭、増田理事長は「民泊や耐震など問題が山積している。それらに対応しながら、関西支部連合会はすごい、頑張っていると言ってもらえる1年にしたい」と、今年の抱負を話した。
グループディスカッションは5つのテーマに10人ずつが参加し、活発な意見交換を行った。各グループは次のように意見を集約した。
耐震問題グループは「耐震工事ができていない施設の公表時期を延期してもらえるよう各府県に訴えていこう」「旅行会社やマスコミから耐震工事ができているかどうか調べる動きが活発化している」。
雇用問題グループは「ほとんどの施設が人手不足。人を集めるには自社サイトの活用が大事。英語がいかせる仕事、9時から15時までの間は時間が有効に使える仕事といったアピールの仕方が重要。ハローワークなどでフロント、接客募集という表現では人は集まらない」。
民泊問題は「旅館業界だけが反対している状況。不動産会社や住宅賃貸の会社は積極的に動いている」。
生産性向上は「最大の敵は経営者自身の意識改革。年間所得が400万円ない業界に人は来ない。旅館は生産性を向上しない限り、生き残っていけない」。
インバウンドグループは「地域で温度差がある」とし、各府県が現状を報告。京都は、ホテルは中華系、旅館は欧米人のFIT、宿泊形態は1泊朝食が多い▽奈良は伸びつつある。関東から入ってくるケースが多くなっている。1泊朝食(和食)スタイルが増加▽和歌山は高野山が欧米、熊野本宮がイスラエル、白浜が中華系と地域によって国籍に違いがある▽大阪は市内がアジア系、旅館はFIT、ホテルは団体客といった状況▽兵庫は淡路島を訪れる外国人は少ないが、有馬は1泊2食で3万円以上を出す中国のFITが多い。湯村は台湾が増加傾向―などと報告した。
席上、日本旅館協会の針谷了会長は「関西から発言力を強めたこともあってインバウンド対策などで国の観光予算が思った以上についた。勉強する機会も増えたので奮って参加してほしい」と呼びかけた。
また、全旅連の北原茂樹会長は「民泊の流れは止めることができない。これからは条件闘争に入る予定だ。皆さんの意見を聞かせてほしい」と民泊問題の情報収集について協力を要請した。
会議ではこのほか、総務企画部が耐震問題、IT戦略部がITセミナーの開催、インバウンド事業部がオーストラリア・シドニーへのキャラバン、青年グループが研修会の実施などについて代表から報告もあった。