こだわりが人材確保に
旅館で人材不足、というより人手が足りないという話が尽きない。宿泊客があっても人手がないから休館せざるを得ないといった声を聞くことがあるほど深刻化している。ある旅館経営者は「我々はこれまで設備ばかりに投資をしてきた。人材の確保、人手の確保を怠ってきた。そのつけが今まわってきている。これからでも人に投資することに力を注がないと旅館業自体が成り立たなくなる」と自戒を込めて話し、人材の確保には経営者の意識改革以外に手段がないと強調した。
一方で工夫をしている旅館もある。それは、業務内容を「フロント、接客募集」という表現ではなく、「英語が生かせる職場」「インターネットが得意な方」といった具合にキャリアを評価する形で、ハローワークや自社のホームページで呼びかけていることだ。また、地元の学校を小まめにまわり、宿泊業が自館だけでなく地域にいかに貢献しているかを説明する。いずれも反応がよく、問い合わせや応募者の数となって反映しているという。入社した後も従来の給与体系を見直すなど、人材流出に歯止めをきかせ、何とか人手不足が解消しつつあるそうだ。
この旅館は大規模施設で、料理の部屋出しにこだわり営業してきた。そのこだわりが、人手確保に独自性を見い出したと言えるのだろう。
(トラベルニュースat 16年2月25日号)