四字熟語で2016年の観光を占う(3) 地方が見せる新しい景色
【高島村景】は、山田さんの【高】と井門さんの【島】から。現実味がない意味の荒唐無稽ではなく、2016年の大きな流れを示した。それは2人が選んだ理由から伝わる。高みを目指す行動がカギ
山田さんは「安」の反対で選んだわけではないとキッパリ。「2015年の外国人旅行者は1900万人を超え、日本びいきのリピーターも増加中。だからこそ、国内外のお客様の期待を裏切らないためにもサービス・商品のクオリティを高め続ける経営努力が必要だ」と指摘する。
加えて「地域が入り込み客数にこだわり、事業者も稼働率ばかりにこだわっていては決して質は良くならない」とし「顧客満足度向上を目指すことを前提として『より高く!』という意識とともにその高みを目指す行動が進歩と進化するための重要なファクターだからだ!」。
井門さんは、瀬戸内の島々が舞台の「瀬戸内国際芸術祭」と、4年連続で世界遺産に選ばれる可能性が高い五島列島や佐世保市の黒島などの「長崎県の教会群とキリスト教関連遺産」を理由に挙げた。
世界遺産登録が期待される長崎県の教会群(写真は頭ヶ島天主堂)
それにプラスし「いろいろと仕事やSNSに疲れ、『そうだ、島に行こう』と思う私と同じような人々もきっと増えることでしょう」とトレンドを予測した。
地方創生が盛んに言われる中、高級路線だけではない高品質・高満足を提供する島や村などの地方が、新しい景色を我々に見せてくれることを期待したい。
【憂乱飛行】は、宿泊産業の懸案から。一昨年あたりから、にわかに浮上してきた耐震改修問題や民泊問題。
【憂】を挙げた永山さんは、雇用の確保を含めて「まさに外患内憂の一年。インバウンドはもちろん、軽減税率や規制緩和など外圧に対する対応に追われる一年になりそう」とみる。
井村さんは、法整備などが追いつかずに民泊が本格化し、そうとう混乱するような気がするとして【乱】。「国内旅行は高級バージョンに避難していくかもしれない。外国人が来ていない場所や宿泊施設を選ぶようになるかも」とし、飛行ではなく避行を懸念。
(トラベルニュースat 16年1月1日号)
→四字熟語で2016年の観光を占う(4) 数から質へ、高み目指す段階にに続く
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