地熱発電開発に反対姿勢貫く 日本温泉協会、理事会で取り組み報告
日本温泉協会(1308会員、大山正雄会長=学術部幹事委員)は12月18日、東京・平河町の全国旅館会館会議室で2015年度第2回理事会を開き、(1)委員会報告(2)15年度上半期事業と収支報告(3)16年度事業計画と予算―などについて審議した。委員会活動では、同協会が最重要課題として地熱対策特別委員会(委員長・佐藤好億副会長=福島県二岐温泉・大丸あすなろ荘)を設置し取り組んでいる「大規模で無秩序」な地熱発電開発への反対運動の現況と成果の報告に多くの時間を費やした。
大山会長も冒頭のあいさつで「地熱発電開発は温泉地や温泉利用を脅かすもの。にもかかわらず環境省が国立公園の特別保護地域について10月に域外からの斜め掘りを可能とする規制緩和を行ったことは容認できない」と話し、環境省に対し反対の意見書を提出したことを紹介。佐藤・地熱対策特別委員長も、地熱発電開発の候補地である福島県磐梯・安達太良地区の地熱対策委員会が8月に調査・開発を一切認めないことを決議したことを報告するなど、国策として進められている地熱発電開発の対抗策を紹介していた。
また、実際に石川県和倉温泉と熊本県黒川温泉では、周辺での地熱発電開発の情報を早いうちに取得し、反対の意思を示すことで開発を断念させた事例が当事者から報告され、いったん開発が始まれば後戻りさせることが難しい地熱発電開発であっても、地域の同意以前の早い対応ができればストップをかけられる事例として紹介された。
このほか理事会では公式ウェブサイトのリニューアルや会員証のデザイン変更、天然温泉表示制度の見直しなどについて意見が交わされた。