地熱発電の緩和に反対 日本温泉協会、環境省に要望書
日本温泉協会(大山正雄会長)はこのほど、「地熱開発のための国立・国定公園内の規制緩和に反対する」とした要望書を環境省と資源エネルギー庁に提出した。要望書は、国が地熱発電を現在の50万キロワットから約3倍の140万キロワットに引き上げる計画の実現に向け、熱源である火山が多く分布する国立・国定公園内の地熱開発について、規制を緩和する方向にあることを危惧したもの。「地熱発電周辺の温泉地では、地熱発電の影響と思われる湧出量の減少、水位や泉温の低下、成分の変化など、温泉の枯渇化現象が報告されている」とし、規制緩和しないよう要請している。
大山会長(左列左から2人目)が要望書を提出
また、日本では年間1億2千万人が温泉施設に宿泊し、さらに多くの人が温泉を日帰り利用しているなど、世界に冠たる温泉文化が根付いているとし「日本は地熱を温泉として最大限に利用している世界有数の地熱利用国であり、観光立国を目指す国策のなかでも、温泉は観光の重要な一翼を担っている」として、発電以上に地熱の温泉利用にはメリットがあると主張している。
さらに、地熱発電時に発生する大気汚染や地下および地下水汚染も指摘し、「地熱発電開発を進めるための国立・国定公園の規制緩和は、将来に大きな負の遺産を残し、国家の損失である」と訴えている。