フェリークルーズの可能性を探る 各社代表による観光座談会(2)
岡田 大阪が拠点の時ですが、神戸の旅行会社がツアーを10本設定した場合、1、2本しか催行できませんでした。神戸航路になってからは10本設定すると、すべてが催行されるようになりました。乗用車と個人のお客様も神戸に来てから減少傾向に歯止めがかかっています。旅客対応重視する西日本
山田 私どもは大阪南港から愛媛県の東予まで運航していますが、以前は関西方面から四国へたくさんの船が走っていました。今では大型フェリーは当社だけです。
自転車ファンにとってしまなみ海道がサイクリングの聖地のようになっていて、今年の1月から自転車の空気入れの設置や組み立てなどに利用できるサイクルステーションを南港と東予港に設けました。
愛媛県内ではサイクリングロードの設置など自転車ファンの誘致に力を入れていますので、我々も自転車ファンをはじめ個人客、四国八十八カ所霊場のお遍路さんなどに利用してもらえるような船旅の提案を強化していこうと思っています。
山田 惣吾さん(四国開発フェリー営業部副部長)
―前川さんはこういった関西のフェリーについて、どのようなご感想をお持ちですか。
前川 今日お集まりの各船社の収入は貨物7割、旅客3割だと思いますが、東日本では貨物9割、旅客1割というバランスです。自ずと東日本の船は旅客仕様にはなりづらく、西日本の船は旅客対応を考慮に入れた船になります。したがって関東以上に関西ではフェリークルーズを重視して、船造りがされているようです。
クルーズという点では日本も1989年から頑張って取り組んではいます。しかし、20年間クルーズ人口は20万人で推移しスリーピングジャイアントと言われるように市場は眠ったままです。
昨年になって外国船社が日本発着で来てくれたので2、3万人は増え、ようやくブームに火がつき始めたようですが、思った以上に市場は大きくなりませんでした。最大のネックは現役世代が休みをまとめてとれないからだと考えています。
前川 一郎さん(国土交通省近畿運輸局海事振興部長)
その点、フェリーにはクルーズ船にはない利点があります。それは毎日ダイヤ通りに決まった運航をしていることです。食事も予約をすればフルコースが食べることのできる船もあり、船の中は退屈だと言われる方というのはあまり聞いたことがありません。
クルーズ船は以前にくらべてリーズナブルになりましたが、フェリーの場合はまだその半分ぐらいの料金で非常に計画が立てやすく、クルーズ気分を味わえます。そういった意味で西日本ではクルーズフェリーというジャンルを確立しやすい。
また、フェリーは今設備が充実しています。船の個室化によりプライバシーが守られるようになっていますし、非常に静かで環境にも配慮されています。阪九、名門大洋さんの新しい船は前の世代の船と比べ3割ぐらい二酸化炭素の排出量を減らしており、時代の先取りをしています。
阪九フェリー
名門大洋フェリー
宮崎カーフェリー
四国オレンジフェリー
→フェリークルーズの可能性を探る 各社代表による観光座談会(3)に続く
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