相互交流4千万人へ節目の年 JATA田川会長、日中・韓関係改善へ意欲
JATA(日本旅行業協会)の田川博己会長(JTB会長)は1月8日にJATA本部で行った恒例の新年記者会見で、2015年の旅行動向やJATAの取り組みなどについて話した。このなかで好調なインバウンドについては「1500万人来るのではないか」、また国内旅行についても「北陸新幹線の開業など好材料が多い」と期待を示す一方、海外旅行については、原油価格の低下などで「旅行単価が上がる要素はないのでは」と追い風となる材料があるものの、安定的拡大に向けては「日中、日韓問題の解決が焦眉の急」との認識を示した。インバウンドについては2020年の東京オリンピック・パラリンピックを5年後に控え、15年を「節目の年」と位置づける。
「リオ大会の閉会式で次回はTOKYOとコールされてから動くのでは間に合わない。オールジャパンで、しっかり準備したい」
イン・アウトバウンドの双方向交流で3千万人時代を迎えた日本。田川JATA会長は15年を「相互交流4千万人への節目の年」とも表現した。
今年への意欲を語る田川・JATA会長
国内旅行には北陸新幹線開業、高野山開創1200年、姫路城グランドオープン、秋の5連休など好材料がそろう。特に、北陸新幹線については「北陸新幹線と東海道新幹線で新たな周遊ルートが開発される」と話し、日本の新たなゴールデンルートが誕生することを歓迎した。
海外旅行については、「拡大を政策提言できる組織は国内にJATAしかない」と、JATAの活動の一丁目一番地として推進する意欲を示した。
ただ、2大旅行先市場である韓国、中国とは政治・外交など外的要因がのしかかり、海外旅行全体の拡大の足かせとなっている。
田川JATA会長は「日中、日韓間が改善すれば、安定的に海外旅行者数1900万人もあるのではないか」と、環境改善に取り組むつもりだ。
「両国へは大きなシェアを持つ教育旅行が減っているのが大きい。これに光を当てて、回復に向け活動したい。日韓については国交50周年にしっかり対応したい。中国についても12年並みに700万人程度の双方向交流を目指したい」
3月にはJATAの役員会を中国で開き、観光関係者と意見交換することにしている。