【書評】追体験で作品世界を深く 『美との対話 私の空想美術館』粟津則雄著
美術作品に接する際、独白と対話を心がけている。作品が語りかける独白に慎重に耳を傾けた後、抱いた疑問などを今度は作品に問いかけ、その内なる声と対話するなかで作品を読み解いてゆく。私に限ったことではないだろう。古今の傑作をめぐる著者の鑑賞体験がつぶさにつづられた本書を一読して強く思うのは、例えば独白を少しも逃さない強靱(きょうじん)でしなやかな目、作品への崇敬と愛情にあふれる、広くて深い対話である。
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