【聞きたい。】鷲尾和彦さん 海の記憶を呼び起こす写真集『To the Sea』
「震災の後、ある海岸で海を眺めている姉妹に会って、2人が並んで壊れた防潮堤に座っているのを撮らせてもらいました。実家は津波で流されて、周辺もひどい状況だった。それでも彼女たちは、海は変わらずきれいだし、嫌いにはならないって言ってました。そのとき、僕も撮っていいのかなって思えたんです」 10年以上撮り続けている海辺の風景をまとめた写真集を刊行した。モノクロームのフィルムを詰めたカメラを携え、全国各地を歩く。東日本大震災で津波に襲われた土地の撮影も続けている。姉妹と会った海岸も、以前に撮影した場所だった。もちろん、震災前と震災後を単純に対比するような内容ではない。