【文芸時評】7月号 早稲田大学教授・石原千秋 責任と無責任のあいだ
芝居の話である。蜷川幸雄の演出では過去の物語の場合、最後に舞台の奥を開いて、現代の光景を観(み)せるのがお約束の一つになっている。率直に言ってどこか賢(さか)しらな演出だという印象を持っていた。劇評などを読んでも芝居の「現代的意義」を説くものが少なくなく、ただ楽しめればいいではないかと思っていた。
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