貸切バスに新制度(2) 時間・キロ併用制運賃方式を導入
新制度では、運賃のキロ単価、時間単価に上限額と下限額を設定し、その範囲内を「審査不要運賃」とする枠組みを導入。上回ると変更命令審査、下回ると安全コスト審査の対象となる。出庫前後の点検時間を加算
算出方式は「時間・キロ併用制運賃方式」に移行。時間制運賃はこれまでの出庫から旅客乗車、降車、帰庫の走行分に、出庫前と帰庫後の点検時間1時間ずつを加算する。これまの最低運賃3時間が5時間になったことになる。これに、届け出が必要だが事業者で自由に設定できる「特殊車両割増料金」「交替運転者配置料金」「深夜早朝運行料金」を加えて料金を算出する。
例えば、東京都内発着の仙台・山形・蔵王方面への2泊3日の旅を想定する。実際の走行時間・距離は初日11時間・425キロ、2日目は乗務員フリーで0時間・0キロ、3日目は11時間・450キロ。1、3日目の走行時間は出庫前・後に1時間ずつを加え、13時間となる。収受可能な運賃は関東運輸局管内の下限額で算出すると、時間あたり運賃額5310円×走行時間26時間に、キロあたり運賃額120円×走行距離8800キロを加えて24万3660円となる。上限額や下限額などの設定は各地方運輸局ごとに異なる。
バス会社には6月末までの新運賃・料金の届出を求めている。旅行実施予定日までに従前の運賃で旅行会社と契約したものは旧運賃で適用可能だが、7月30日までにはすべて新制度に移行することになる。
新制度に違反する場合の罰則も強化。届出を行わない場合や、届出違反のバス会社に対する行政処分も強化されるが、安全を阻害するような行為が疑われる場合、旅行会社への措置が新しく導入された。バス会社が違反で行政処分を受け、旅行会社の関与が疑われる場合は観光庁に通報され、立ち入り検査などの対応が判断される。
近畿運輸局が開いた説明会
そのほか、年間契約をはじめ新制度への移行で、業務場面ごとに対応が変更になるなど十分な理解には時間がかかりそう。同省では今回の説明会や、ANTAなどを通して各地方運輸局で相談を受け付けるなどして周知を図っていく。
旅行会社からは「値上がりすることを一般の旅行者は知らない。なんとか周知できないか」という声も上がっている。同省や各地方運輸局は報道への情報提供などを図っていくが、対応を検討しているという。
4月17日に近畿運輸局で開かれた旅行会社向け説明会には午前JATA、午後ANTAの回ともに多くの旅行会社が詰めかけた。ANTAの回には約80人が参加した。
(トラベルニュースat 14年4月25日号)
→貸切バスに新制度(3) 対応に不安と指摘の声に続く
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