「敗者の理に光を」玉岡かおるさん 小説「虹、つどうべし 別所一族ご無念御留」
「今はとかく勝者に目が行きがちだけれど、滅びる道を選んだ敗者の理にももっと光をあてたい」。そう話す玉岡かおるさん(57)の長編小説『虹、つどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)の舞台は、多数の餓死者を出し、戦国史上まれにみる悲惨な籠城戦ともいわれる播磨の三木合戦。凄惨(せいさん)な戦の最中に放り込まれたキリシタンの女間者(かんじゃ)を主人公に据え、民の命と引き換えに自らの命を差し出した播磨の武将・別所長治らの運命を哀感漂う筆致でつづっている。