【鈍機翁のため息(49)】ビスカヤ人との戦い Ⅱ 不可解なサンチョの行動
サンチョは呟(つぶや)いた。《こりゃあ、風車以上にやっかいなことになりかねないぞ》。事態はその通りとなる。キホーテは騾馬(らば)に乗ったふたりの修道士の前に立ちふさがり、悪魔に憑(つ)かれた異形の化け物ども、すぐさま馬車に閉じ込めた姫君を解放せよ、さもなくば死を覚悟せよ、と大声を張り上げる。言いがかりも甚だしい。そもそも馬車の一行と彼らは無縁であったのだから。
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