新潟県のおもてなし
ユネスコの無形文化遺産に「和食」の登録が決まった。この登録をきっかけに「日本の伝統・食文化の継承」を標ぼうする日本旅館の料理が見直されることを願いたい。そういったなか新潟県旅館組合では地元の食材にこだわった取り組みを展開中だ。2011年から始めた「朝ごはんプロジェクト」は、その土地の米をその土地の水で炊いたごはんとその土地で採れた食材でつくったおかずを提供。当初は13地域115軒で始めたが、13年には22地域、139軒に広がっている。
新たに始めた「地酒の宿」は、23地域65軒の宿が新潟県産の地酒に合う献立とプラン、新潟の清酒の達人が館内にいることなどを条件に、新潟の地酒とそれに合う料理を出すというものだ。
例えば瀬波温泉の夕映えの宿汐美荘の場合、地酒は大洋酒造の紫雲大洋盛に酒粕天ぷらと新野菜スティック・酒粕味噌を食することができる。湯田上温泉のホテル小柳はマスカガミにノドグロの粕漬けを提案し、湯田上温泉全体では地元ジェラート店が作った酒麹のジェラートを提供するこだわりぶり。
新潟県旅館組合のこういった取り組みは、食材や酒の提供だけではなく、あえて言葉にしない「おもてなし」を感じさせる。これこそ「和食」の心ではないだろうか。
(トラベルニュースat 13年12月10日号)