【書評】戦後『「忠臣蔵」映画の全貌』谷川建司著
著者は、映画ジャーナリストとしてハリウッド俳優の故デニス・ホッパーとも個人的な付き合いを持つ。一方で、戦後占領期の日米映画史を中心に研究者として早稲田大などの教壇にも立つが、戦後公開された忠臣蔵関連映画68作品について、「可能な限り詳細なデータを網羅的に紹介」する目的でまとめたのが本書。足で稼いだ情報が満載され、戦後映像史における「忠臣蔵」の果たした役割が鮮明に浮き上がっている。貴重なエピソード、写真などは映画ファン、忠臣蔵愛好家にとっても楽しめる。歌舞伎俳優、松本幸四郎が巻頭にエッセーを寄せた。