【書評】『「活米」という流儀 外交・安全保障のリアリズム』長島昭久著
尖閣諸島の国有化をめぐり顕在化した日本の安全保障の危機。民主党・野田政権で首相補佐官として最前線に立った著者がその経験を基に鋭く切り込んだ。台頭する中国が海洋強国戦略を着々と進める現状を解説し、軍事力強化の真の目的を西太平洋からの「米国外し」と喝破する。米国の退潮が招くアジアの均衡崩壊の懸念-。日本が海洋秩序の形成をリードし、周辺国との連携強化と中国との均衡を両立する「遠交近衡」策を提案。独立自尊の気概で米国をも“利用”する。外交安保のリアリストが「親米」でも「反米」でもない、「活米」という新たな道を切り開く。