【手帖】田中正造の谷中村ヒントに出版
福島県郡山市出身の児童文学作家、一色悦子さんが、日本初の公害である足尾銅山鉱毒事件を告発した政治家として知られる田中正造の没後100年と、福島原発事故後2年半を機に『さよならのかわりにきみに書く物語』(随想舎・1260円)を出版した。副題は「田中正造の谷中村と耕太の双葉町」。原発事故で両親と暮らしていた双葉町から、祖父が住む茨城県古河市にひとりで避難してきた中学生の耕太が辿(たど)る日常と揺れる心模様を、田中正造の志に重ねながら描いている。