【書評】『夏目さんちの黒いネコ やむを得ず早起き2』関川夏央著
明治36年、夏目漱石は2年半の英国留学から帰国。留学の後半期からの神経症は帰国後も長く尾を曳(ひ)いた。翌年、本郷千駄木の借家に黒い子猫が入り込み、漱石(37歳)救いの福猫になる。「ホトトギス」に書いた猫が人間たちを観察する滑稽小説を高浜虚子が朗読しながら笑った。題名は『猫伝』ではどうかと漱石が言った。虚子が「吾輩は猫である。名前はまだ無い」という冒頭の一文から『吾輩は猫である』を提案し、決まった。
日本の旅行をもっと面白くする