【一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 目に見えない富を知る
温故知新は孔子が教示したものである。故(ふるき)をたずね新しきを知るのである。現代ではこの教えが忘れられかかっているようだ。かつて古代ギリシャのツキディデスから20世紀のホイジンガにいたるまでの多くの歴史家が、この言葉と同じような意味のことを言っている。温故とは過ぎ去った事跡事象、そして歴史の中で起こったことどもを知ることである。そしてそこに起こるのは疑問である。歴史には数えきれない程の疑問があり、歴史家は侃々諤々(かんかんがくがく)とそれぞれを立証しようとする。東洋的な輪廻(りんね)思想と、西洋の唯物史観は対称的な歴史観でもあろう。