【追悼】秋山駿氏 文芸評論家・富岡幸一郎 最期まで「自分一人の言葉」探究
大学生であった私が秋山駿氏にお会いした頃、氏は文芸雑誌『群像』に「舗石の思想」と題するエッセーを連載していた。これは昭和55年11月に単行本として刊行されたが、その前年に『群像』の新人賞評論部門に入選した私は、受賞後の第1作に「秋山駿論」を書いた。今読めば若気の至りという他はないが、当時40歳代後半の秋山氏はまさに脂の乗りきった時期で、文芸批評家として現代文学の潮流を大胆に分析、腑分けしながら、『内部の人間』以来の独自の批評的エッセーを展開し、はるか後輩の私などには対象としてチャレンジしたくなる輝ける先達の批評家であった。