【話の肖像画】作家・島田雅彦(52)(4) テーマは「3・11後を生きる」
どんな人も天気がよかったりすると、通勤電車を途中下車して、釣り糸でも垂れたいな、という願望は抱えていると思うんですよね。現実問題として毎年8万人もの失踪者が出ているわけです。そうすると、これは人類が抱え込んでいる本能かな、と。この「失踪願望」の徹底追求、そしてそれが実現可能であるというところにどこまで肉薄できるか。それをこの作品の一つの目標にしました。あと、模倣者が現れたときに、間違いのないガイドブックにもなるはずです。