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【次代への名言】司馬さん、遼(はるか)なり編(30)

【次代への名言】司馬さん、遼(はるか)なり編(30)
 《が、胸中のこまごまとしたことは、依然いわない。言えないのであろう。目の前に生死の運命が屹立(きつりつ)している。それを前になにをいったところで、言葉がむなしく虚空に散り消えるだけのことだということも、この豪胆な小男(豊臣秀吉のこと)は知っているのであろう》 冒頭の秀吉の発言のあと、右の“地の文”が続けられる。まことに颯爽(さっそう)とした人物像だが、作家としての性であろう。司馬さんは秀吉の陰影にもふれた。それは『新史太閤記』ではなく、秀吉の智恵袋、黒田如水(じょすい)を主人公にした『播磨灘物語』のなかに色濃くあらわれている。
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