東京で日・アセアンの観光交流を深める会
日本とアセアン(東南アジア諸国連合)の観光交流に弾みをつけようと、日本観光振興協会など観光関連団体は8月5日、東京・芝公園の東京プリンスホテルにアセアン諸国の駐日大使や参事、太田明宏・国土交通大臣や菅義偉・内閣官房長官など日本政府関係者らを招いて「日・アセアンの観光交流を深める会」を開いた。1973年に日本とアセアンとの交流が始まって今年で40年。日本政府は外務省や観光庁などが中心となり日・アセアン友好協力40周年記念事業を年間を通じて展開している。
このうち観光庁では日本とアセアン諸国との相互交流の拡大を目標に設定。なかでも東南アジアの主要訪日6市場(タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)については、訪日客数を12年の77万人から100万人に増やす目標を掲げている。
政府でもこうした取組を後押しするため、すでにビザの免除措置が実施されていたシンガポールを除くアセアンの主要訪日5カ国に対し、7月1日からビザ免除や数次ビザの導入、数次ビザの滞在期間の延長措置を開始している。
主催者を代表してあいさつした山口範雄・日観協会長(味の素会長)は「経済成長著しいアセアン10カ国の域内人口は6億人です。(ビザ緩和は)観光交流拡大の絶好の機会。官民で日本の観光の魅力を的確に訴求していきたい」と期待を込めた。
太田・国交相もビザ緩和効果に強い期待を示した。
「1-6月にアセアンからは前年同期比38%増の52万人が来日しています。ビザ緩和を起爆剤にさらなる増加を願っています。政府としては日本の食や四季の美しさ、治安の良さなどを日本ブランドとして発信していきたい」。
菅・内閣官房長官は他のアセアン諸国へのビザ緩和措置にも言及した。
「今年は交流40周年の大事な年。12月には東京で日本・アセアン特別首脳会議が予定されています。それまでにはビザの緩和措置で他の国についても結論を得たい」。
8月1日に4代目の観光長官に就任したばかりの久保成人・観光長官が紹介され、「全力で相互交流に取り組みたい」と話した。
アセアン側からはフィリピンのマヌエル・エム・ロペス駐日大使やタイのタナティップ・ウパティシン駐日大使があいさつ。ビザ緩和による2カ国間、2地域間のツーウェイツーリズムの推進に期待を示した。
日本とアセアンの観光交流は、2012年に日本からアセアンを訪れた人が410万人。アセアンからの訪日客数は79万人で4倍以上の開きがある。日本側からの参加者からはビザ緩和で、より均衡ある相互交流に期待していた。