旅行消費額は4年連続で減 観光庁が10年分まとめる
観光庁は5月11日、2010年の旅行消費額(確定値)を発表した。対前年比5.9%減の23・8兆円で、4年連続で減少した。旅行消費額の内訳は、宿泊旅行が16.1兆円(観光目的9.7兆円、帰省目的3.8兆円、ビジネス目的2.6兆円)で、全体の67.5%を占める。以下、日帰り旅行5.1兆円、海外旅行国内消費分1.3兆円、訪日外国人旅行1.3兆円と続く。この中で前年より増加したのは訪日外国人旅行のみ(0.1兆円増)。
旅行消費額の減少は06年に30.1兆円を記録してから続落しており、4年で6兆円以上も減少した。10年の減少について観光庁は「旅行回数の減少が影響」と推察。1人あたりの年間旅行回数は09年比で、宿泊旅行が7.7%減の2.51回、日帰り旅行が10.1%減の2.49回と減少に歯止めがかかっていない。
一方、この旅行消費が日本経済にもたらす生産波及効果(直接効果を含む)は、国内生産額の5.5%にあたる49.4兆円。総就業者の6.6%相当の424万人の雇用創出効果があると推計される(直接の雇用創出効果は229万人)。付加価値効果は25.2兆円で名目GDPの5.2%、税収効果は4.0兆円で全税収の5.3%を占めるなど日本経済への貢献度は大きく、旅行消費額の減少を食い止めることが業界だけでなく国としても喫緊の課題と言えそうだ。