【ワインのこころ】夏こそローヌ! シラーとかば焼きと山椒と 青木冨美子
キユーピー&アヲハタの創業会社で、ワイン・食品の輸入会社中島董商店が、スパイスやハーブを利用した“料理とワインのマリアージュ試飲会”を行いました。南仏の赤ワインにはカレー粉&オレガノ&マジョラムを使ったカポナータ、コート・デュ・ローヌ地方のシラーにはナツメグ&黒コショウを使ったミートボールの赤ワイン煮といった具合で、参加者は用意された数点の料理にワインを合わせながら相性をみていました。展示のなかに香辛料のPOPがあり、私はそのなかの“山椒”に注目しました! 焼けつくような太陽の地ローヌ地方の黒ぶどうシラーには、夏のスタミナ食、うなぎのかば焼きが良く合います。その橋渡し役になるのが山椒。熱帯・亜熱帯および温帯地方に分布するスパイスです。山椒を軽くつまみ、シラーのワインと合わせると、すんなりと口中に消えていくので、相性の良さが実感できます。中島董商店のワイン担当者が「夏こそローヌ!」と言っていましたが、私に、夏こそローヌを実感させてくれる香辛料が、この山椒なのです。 今回のマリアージュのために用意したのは、東京・目黒不動前にある『八ッ目や にしむら』のうなぎのかば焼きと、シラー100%の『ラペル・デ・スレーヌ・ヴァン・ド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ2009(ドメーヌ・フランソワ・ヴィラール)』。通常、赤ワインは冷やしませんが、夏は少しだけ低温にすることで、シラーの繊細な酸が楽しめます。きめ細かなタンニンが口中に残るうなぎの脂分をきれいに流し、一口食べるごとにすっきりした食感が広がります。仲介役の山椒の分量はお好みで! (ワインジャーナリスト 青木冨美子/SANKEI EXPRESS)