【書評倶楽部】女優・麻木久仁子 『日露エネルギー同盟』藤和彦著
「シェールガス」という言葉を聞かぬ日はないだろう。頁岩(けつがん)と呼ばれる岩石の層の中に閉じ込められているガスのことであり、今までは取り出すことができなかった。これが近年の技術革新により、利用可能になったのだ。その埋蔵量は膨大で、世界全体の天然ガス資源の可採年数は、少なくとも400年以上に、一気に拡大するのだという。先行して開発が進んだアメリカは天然ガス輸出国に転じた。これまで天然ガス輸出大国として存在感を誇っていたロシアは、強力なライバル出現に、日本を含めた東アジアに天然ガス輸出を拡大し、市場を確保しようと必死になっている。