楽しき土壁
歴史風情を求めてのまち歩きは旅行商品でも人気だが、その趣きを演出する「土壁」を本気で眺めた人はどれぐらいいるだろう。これに正面から迫った一冊が「」(学芸出版社)。京都の左官親方・佐藤嘉一郎さんが土壁の神髄を語る、なんとも個性的な一冊だ。
仁和寺、大徳寺玉林院、東寺などを訪ね、聞き手の矢ヶ崎善太郎・京都工芸繊維大学大学院准教授を相手に「土壁」を、京都弁で軽妙かつ熱く語る佐藤親方。帯に記されたこの言葉が土壁の奥深さ、楽しみ方を物語る。
「この壁、ええ錆がでてますなあ」