【紅と白 高杉晋作伝】関厚夫(88)狂生篇 嵐の予感(三)
文久2(1862)年1月3日、長井雅楽(うた)は長州藩の「中老雇(やとい)」となった。階級社会の世の中ゆえ、少々こみいっているのだが、「中老」とは「準家老」のことである。しかし、その資格があるのは上士である「寄組(よりぐみ)」以上の藩士であり、中士上等の「大組(おおぐみ)」(高杉家もここに属する)である長井にはその資格がない。ゆえに内むきには中老に一時登用したという意味の「中老雇」とし、対外的には「中老」を名乗らせた。