旅館業界を学ぶ 日本旅館協会近畿支部連合会、大学ゼミ生へ指南
旅館業界が現在どのような状況下にあるのか、知りたい―。経営学を学ぶ学生がこのほど、大阪府池田市の不死王閣を訪ねた。対応した同館の岡本厚社長と谷向哲也取締役営業支配人は、インバウンドやネット予約の現状を学生に説明した。学生は、龍谷大学経営学部藤岡ゼミの5人。日本旅館協会近畿支部連合会(西村肇連合会長=西村屋ホテル招月庭)に旅館経営者へのインタビューを要望していた。同支部では不死王閣と和歌山県・白浜温泉のホテルシーモアで対応した。
インバウンドの状況と客室稼働の現状を尋ねられた不死王閣・岡本社長は「インバウンドを受けると客室の稼働は上がるが、定員稼働は下がり売り上げが落ちる。そのため、現在インバウンドの受け入れは全体の5%程度しかない」と説明。
また谷向取締役は「海外からのお客様のほとんどがインターネット。そのため海外の宿泊予約サイトとも契約している。最近はブログの書き込みを重視し、ブロガーを招待して情報発信している旅館もある」と話した。
不死王閣で熱心に話を聞く大学生の皆さん
さらに語を継いで岡本社長は「インバウンドのお客様に来ていただくのに新たな設備投資は必要ない。しかし国が行うビジット・ジャバン・キャンペーンの予算額を見ても本気でキャンペーンをやろうとする額ではない」と指摘。インバウンドで最も狙いたいのはFIT型インセンティブ旅行であると伝えた。
インターネット予約の状況は、岡本社長はネットエージェントからが約35%であるのに対して自社ホームページからは61%と紹介。「今後も自社予約を強化し、旅館業界にもネットを駆使した直予約を広めたい」という考えを示した。