「お客様の力で蘇る」 阿蘇復活への4カ月(3) 被災をプラスに捉える
―ご自身の施設はどうだったのでしょうか。自分の思ったとおりの増改築を
稲吉 1階が120センチ浸水し、1階にあった厨房、レストラン、宴会場、フロント・ロビー、配管はもちろん、電話、電気、水道、ガスなどすべてのライフラインが泥水に飲み込まれました。
当日、250人のお客様が宿泊されていたのですが、スタッフの素早い行動で1人のけが人もなく、亡くなられた方もいらっしゃらなかったことを何より喜んでいます。
―あれだけ被災しながら亡くなった方やけがをされた方がいなかったのは、まさに不幸中の幸いでしたね。
稲吉 ただ水が引いたあとは泥だらけで、30センチ積もった泥を取り除く作業が大変でした。それでも3日ほどでほぼ片付き、金策に走りました。おかげさまで社員には基本給だけは払い続けることができて、リニューアルオープンの時点で、パートも含めてほぼ全員戻ってきてくれました。
―7月の被災から11月のリニューアルオープンまで、時間がかかりましたが。
稲吉 実際は7月末にオープンすることも可能だったのですが、なにしろものすごい量の泥でしたからあきらめにも似た心境であったのは事実です。しかし考えようによっては、ここまで壊れたのだから自分の好きなようにやり変えることができると思ったんです。通常なら、先代が築き上げたものに手を加え、自分の思ったとおりの増改築なんて、なかなかできないものなんです。
「自分の思い描く宿に」と稲吉理事長
(トラベルニュースat 12年11月25日号)
→「お客様の力で蘇る」 阿蘇復活への4カ月(4) 「第2の創業」で意識変革に続く
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