旅行客の声を商品化
テレビショッピングの草分け的存在だった日本直販がこのほど、負債総額約170億円で経営破綻し、民事再生となった。日本直販は市販されていないアイデア商品をヒットさせ、そのなかでもっとも有名なのが「高枝切りはさみ」といわれる。しかしあれだけテレビでコマーシャルをしていながら最大のヒット商品が「高枝切りはさみ」だけというのは心もとない。パワースチームアイロンも手ごたえはよかったようだが、購入者から「テレビのようにスチームが出ない」と苦情が殺到し、信用度が低下したという。日本直販の低迷はインターネット販売の影響が大きく、日本直販自体もネット対応の整備に遅れをとったからとの指摘もあるが、それ以上に消費者が求める商品を販売できなくなった点を挙げる声が強い。
旅行業界の低迷もネットによる直販化が理由にされることが少なくないが、それよりも旅行者が求めているものを商品化できていない事実の方が問題ではないだろうか。
ネットで情報を得て旅行会社に行って相談しても情報そのものを知らないだけでなく、手早く対応をこなそうとする姿に不信感を持った、という話を聞いたことがある。客が何を求めているのかを知り、相談に対応できる能力が今最も求められているように思う。
(トラベルニュースat 12年11月25日号)