国内初本格LCCの6カ月(2-1) ライフスタイル掘り起こす―ピーチ
トラベルニュースat本紙9月25日号(「国内初本格LCCの6カ月(1-1) 新規需要の開拓に手応え―ピーチ」)に続き、ピーチ・アビエーション営業本部マーケティング&コミュニケーション部の百目木(どめき)直人部長のインタビュー。前回は、就航半年間の実績や旅行会社の販路拡大について聞いた。今回は、新規需要の開拓やES(従業員満足)への取り組みについて伺った。営業本部マーケ&コミュ部・百目木直人部長に聞く
―旅慣れていない乗客が目立ったと仰っていましたが、需要開拓という面でほかに特徴的なことはありましたか。
新規ではありませんが、韓国路線で面白いことがありました。往復で9千円台というキャンペーンが40代の女性に圧倒的な支持を得たんです。早朝7時30分に出発し韓国を21時10分に発つというスケジュールなので、おそらく想像ですが、子どもを旦那さんやご両親に預け、もしくは学校に行ってもらう間、お母さんはソウルを楽しんでいる。先日、韓国に出張した時、私の前の席に40―50歳代の女性がいました。客室乗務員が不慣れな韓国語でアナウンスをしたら、その女性たちが「下手な韓国語だわ。何言ってるのか分からへんわ~」と。一時の韓流ブームを経て、韓国はもはや旅行というよりもライフスタイルの一部になっている方が多いと感じましたね。
―欧州ではLCCによってVFR(友人や親類を訪ねる旅)が増えたそうですね。
弊社もそうです。今までは2年に一度しか帰省できなかったけど毎年行けるとか、家族5人全員で初めて帰省したという話を聞きました。これまでは子どもだけ、お母さんと子どもだけだったそうです。移動費が安くなったので皆でおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行ける、と。シニア10人のグループが入院した友人を見舞いに行くというのもありました。この運賃だったら1年に一度が、半年や3カ月に1回ということになるかもしれません。確実にそういう掘り起こしはできていると思います。
余談ですけど、地元の飲み屋でお客さんと話していたら、どこに旅行しようじゃなくて、ピーチが安い運賃でキャンペーンを始めたからとりあえず買って行ってみよう、ということらしいんです。「このあいだ長崎が安かったから、別に行きたくなかったけど行ってきたよ」と言われました。そういう意味で、まったく新しい乗り物として新しいライフスタイルの一部になりつつあるのかもしれません。
―一方で、クレームは多かったりするんですか。
驚かれるかもしれませんが、最近はほとんどありません。確かに最初はお叱りを受けました。3月後半に大量に欠航した時はたいへん怒られたのですが、最後にお客様が「がんばってください」って言ってくれるんです。欠航して謝っているのに「ありがとうございます」と言われて、何で?と思っていました。その理由をお1人のお客様が教えてくれたんです。普通はカウンターに一列に並ばなければいけないけれど、ピーチはスタッフが来て話しを聞いてくれる、安心したというのです。「あなたたちが頑張ってくれないと私たちがこれから安い運賃で旅行できなくなるから」と言われ、涙を流す同僚もいました。関西の皆さんに応援していただいているのを実感しています。
「関西空港を拠点にしたことがよかった」と百目木さん
→国内初本格LCCの6カ月(2-2) 社員は飛行機好きの集団―ピーチに続く
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