LCC初めての夏(3) 海外では旅行形態が変化
本格就航から半年経ったが、国内LCCの効果は未だ推し量れない面も少なくない。そうしたなか、公益財団法人日本交通公社が大阪市内で行ったセミナーでLCCが旅行市場にもたらす効果が俎上にのぼった。ライフスタイルをも変える存在
セミナーではLCC先進地域の動向から今後の旅行市場を占った。
英国では2000年以降、LCCによって航空旅客数が大幅に伸びた。航空経営研究所の牛場春夫さんは「ライアン航空は4割、まったく新しい需要を創出した」という。これは英国に限らず、LCCが就航した場所はすべて同じで「日本でも必ず起きる」と言い切った。旅行形態については、日本交通公社の黒須宏志さんは「VFR(友人や親類を訪ねる旅行)が大きく伸びる」とし、FITも急伸するもののパッケージ旅行が一様に減るというわけではないという。減るのはフルパッケージに限られるという。
黒須さんは「パッケージが食われる部分は限られている。日本もLCCによって変化はあるが、詳細な分析で対応できる範囲」と話した。イギリスの主要バケーション先マルタでは、所得の高い客層が増えた。LCCは安値志向の客を増やすだけではないと強調。「日本でも交通費を安くしたぶん、現地滞在費を増やす客を開拓する可能性がある」と指摘した。一部の旅行形態ではパイの食い合いが起こる可能性はあるものの、相対的には需要創造の方が優勢というわけだ。
牛場さんは「この足を使わない手はない。LCCと長期的な関係を持つべき」とし、黒須さんは「ひとり旅、日帰り旅行が増えるなどいろんな可能性がある」。LCCはライフスタイルをも変える存在だとした。
→LCC初めての夏(1) 半年で60万人突破、好調さ背景に増便もに戻る
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