【書評】児童書 『NHKネットコミュニケーション小説 空を泳ぐ夢をみた』
で、本書である。初出はウェブサイト「NHKネットコミュニケーション小説」に昨年12月から今年5月まで連載された、こちらもオンライン小説である。同サイトのねらいは「ネットでのコミュニケーションを題材にした小説を読みながら、ネットとのつきあい方を考える。ネットの安全な歩き方を身につけ、ネットを利用したコミュニケーションスキルを高める」といったものだ。というわけで本作品も、パソコンやケータイにアップされたときと同じくケータイ小説そっくり、すなわち(1)本文は横組み(2)一文をなるべく短く(3)改行を多用-といった構成になっている。何だ、今度は児童向けのケータイ小説かよ、というなかれ。同じ形式を使っても、書く人が変わると内容までぐっとドラマチックで肉厚になる。これぞプロの腕前といっていいだろう。ネット社会の初心者である児童にとっては(1)おもしろい(2)役に立つ(3)感動が残る-の三拍子そろって、どんなもんだい、とわがことのように歓声を上げる、売れない作家がいるかもしれない。