コッカにコミットする(2) 着地型旅行推進に期待かかるが懸念も
政府のアクション・プログラムは20年の訪日外国人客数4千万人をはじめとする目標達成に向けて、今年度は「観光資源の保存と活用のレベルアップ」「『楽しい国日本』の実現」などを今後1年の主要テーマに掲げる。「てるみくらぶ」が引き起こした逆風
観光資源の保存と活用のレベルアップでは、東京・赤坂迎賓館と京都迎賓館、桂離宮など公的施設の開放や、文化財を中核とする観光拠点を全国で約200件整備。国立公園の観光資源化にも重点的に取り組む。「楽しい国日本」の実現では、歴史文化にとどまらない観光資源の開拓を推進。伝統芸能やサイクリングなどは受入体制の整備や情報発信を強化、美術館や博物館は開館時間の延長を促進する。
また、5月に「歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォース」がまとめた内容から、滞在型農山漁村で「農泊」に取り組む地域を20年までに500地域、古民家を生かした観光まちづくりについては20年までに200地域で取り組みを行う。
こうした取り組みを具体化する上で、旅行会社が果たす役割は小さくない。特に着地型旅行、地旅の推進は具体的なアクションとして成果を示すことも可能なはずだ。
ただ懸念材料もないわけではない。東京都旅行業協会の駒井輝男会長(東日本ツーリスト)、協同組合和歌山県旅行業協会の小山哲生理事長(日高観光)が異口同音に指摘したのが「てるみくらぶ」だ。
小山理事長は「格安旅行業者『てるみくらぶ』の倒産により、我々のような中小旅行業者を通さずに直で旅行をしようとする旅行者が増えることが懸念される」。
格安を売りにしたバスツアーが重大事故を引き起こし、市場を縮小させたのと同様な轍を踏むわけにはいかない。「新たな事業に取り組む必要がある」(小山理事長)ことは喫緊の課題だ。
東京都旅行業協会の総会で「てるみくらぶ」の逆風を懸念した駒井会長
(トラベルニュースat 17年6月25日号)
→コッカにコミットする(3) 全旅は「地旅」を新機軸にに続く
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