休暇分散化の議論再開を 経済同友会が観光促進への提言発表
経済同友会は5月9日、「観光立国に向けた環境づくりを進める」と題して観光促進に関する政策提言を発表した。観光立国委員会(星野佳路委員長=星野リゾート)がまとめた。提言は、観光業が次代を担う産業であるとの期待から、観光立国に向けた成長基盤を構築すべきという主旨。観光需要の期間偏重、高移動コスト、訪日旅行者の利便性改善、投資不足の解消を4大問題点と指摘し、インバウンドを中心に国内観光も視野に入れた環境整備を提言している。
提言のなかで目立つのは、休暇分散化の議論再開だ。観光庁が導入を進めたものの否定的意見が多く、現在議論を中止しているが、東日本大震災による電力不足で各企業が操業時間の分散を経験したことで議論の土台は変わったと指摘。従前から考えられていた休暇分散化導入の利点である観光需要の平準化は、観光業の基盤強化につながるだけでなく、東北の観光復興支援にも資するとして議論の再開を求めている。
求めるのは、以前の「秋先行実施」「2か3地域での分散実施」。議論を再開し、課題だった祝日法の改正は法案化し議員立法にすることを案として挙げている。
また、空港・移動コストについては、地方空港に民間の経営手法を導入するなど経営改革を提言。観光分野への投資促進は、宿泊施設を対象とする投資減税や固定資産税の軽減などで事業者の活力を取り戻すことが必要と論じている。
訪日旅行者のニーズへの対応策としては日本政府観光局(JNTO)など政府系ウェブサイトを通じた正しい情報の提供や、新幹線座席のネット予約、電車の切符のクレジットカード利用、宿泊情報のソーシャルメディア活用などサービスの向上で旅しやすい環境をつくることを求めた。